Reyernland über Alles!

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移動と戦闘のルール(正式版)

『Reyernland über Alles!』における移動と戦闘のルールです。

※1ターンは、ゲーム内の時間で約1週間に相当します。
※”金の場合”の作戦期間は、開戦から3ターン(約3週間)です。
作戦期間が終了した後、引き続き、第2段階作戦である”銅の場合”が実施される予定になっていますが、この作戦に関してはゲームの対象外となり、猟兵達が関与する事は出来ません。
※ライエルン軍の各部隊の作戦計画の立案に際しては、各ターンの初期情報に於いて別途指示が無い限り、なるべく3ターン(約3週間)分の行動計画をプレイングに記述するように心掛けて下さい。
※ライエルン軍の各部隊の具体的な作戦行動方針を記述する方法には、文章で記述するやり方と専用の図表を使用し記述する方法があります(詳しくは『プレイングの書き方とサンプル』内の『作戦行動方針』の項目を参照)。無論、各部隊の具体的な作戦行動方針を指定せずに、ライエルン軍全体の行動方針のみを提言・検討する内容でプレイングを作成されても構いません。


各ターンは、以下のフェイズに区分されます。

(1)補給判定フェイズ:ライエルン軍の各部隊について、ライエルン本国との補給線が繋がっているかどうか?をMSが判定します。補給線が繋がっていない部隊は、損耗状態となります。

(2)空挺降下フェイズ:陸軍部隊の移動開始に先立ち、降下猟兵師団による空挺降下を実施します。

・MSがダイスを振り、1~4の目が出れば成功、5・6の目が出れば失敗となります。同一目標に降下する降下猟兵師団が1個増える毎にダイスの目から-1します(最大で-2まで)。
・降下目標に指定できるのは河川にかかった橋梁で、降下に成功した場合、最初に河川に到達した部隊は、河川の手前でその移動フェイズを終了しなければならないというルールは無効化されます。
・空挺降下に成功した降下猟兵師団は、そのターンの移動/戦闘フェイズに於いて、待機を選択しなければなりません。次のターンからは、非装甲化部隊として移動/戦闘を行う事が可能になります。なお、降下猟兵師団は、他のライエルン軍部隊と異なり、軍団単位ではなく師団単位で作戦行動方針を指定する事が出来ます(※他のライエルン軍部隊と同様に、軍団単位で作戦行動方針を指定しても構いません)。
・空挺降下に失敗した降下猟兵師団は、悪天候により降下目標から大きく外れた地点に降下してしまい、壊滅的な損害を蒙ったものとして扱われます(ユニット除去されます)。

※ 各部隊の作戦行動方針を専用の図表を用いて記述する場合、空挺降下フェイズの行動方針は、空挺降下を実施するターンの第1移動フェイズの欄にご記入下さい。

(3)第1移動フェイズ:

・ライエルン軍の全ての部隊は、現在地から道路で繋がっている1つ先の都市まで移動する事が出来ます。
ただし、降下猟兵師団が降下に成功していない場合、最初に河川に到達した部隊は、河川の手前で停止しなければなりません(2回目以降に到達した部隊は、停止せずに都市まで移動する事が出来ます)。また、ライエルン軍の制圧下又は包囲下に無い(=連合軍の制圧下にある)アンドレ・ラインを越えて移動する事は出来ません。

・道路移動には、1回の移動フェイズにペナルティ無しで移動可能な師団数の上限があります。平地を通っている道路は8個師団、平地以外を通っている道路は4個師団が上限で、この上限を超える部隊を道路移動させた場合、ペナルティなしで移動可能な師団数を超過した師団は、次の戦闘フェイズに敵都市の攻撃を実施する事は出来ず、包囲又は待機もしくは再編成を選択しなければなりません。

・道路外を移動する場合は、移動フェイズの終了時に部隊は損耗状態となります(既に損耗状態の部隊は潰滅状態となります)。その代わりに、全ての部隊が次の戦闘フェイズに敵都市の攻撃に参加する事が出来ます。

・例外として、山岳猟兵師団と降下猟兵師団は、道路外移動を行っても、損耗状態に陥る事はありません。

・なお、直近の戦闘フェイズに攻撃を行った部隊は、次の戦闘フェイズで必ず再編成を行わなければなりませんが、連合軍の制圧下にある都市(ただし、ライエルン軍の包囲下にある都市は除きます)では再編成を行う事が出来ないため、移動先を決定する際には注意が必要です。

(4)第1戦闘フェイズ:第1移動フェイズに連合軍部隊が守備している都市に到達した部隊は、(道路移動のルールにより、待機又は再編成を選択しなければならない部隊を除き)都市への攻撃か包囲を選択しなければなりません。

・攻撃を選択した場合、1D6±戦闘修正値をダイスロールし、戦闘結果を判定します。
戦闘の結果、連合軍の部隊が除去された場合は、その都市をライエルン軍の制圧下に置いた事になります。連合軍の部隊が潰滅状態になるか市内に退却するかした場合は、その都市をライエルン軍の包囲下に置いた事になります(この場合に限り、ライエルン軍の部隊が3個師団に満たない状態であっても、包囲を成功させる事が出来ます。ただし、次の戦闘フェイズ以降も包囲状態を継続するためには、3個師団以上の部隊で包囲を行う必要があります)。
それ以外の場合は、その都市に対するライエルン軍の攻撃は失敗に終わった事になり、攻撃に参加しなかった部隊を含む全てのライエルン軍部隊は1つ手前の都市に退却しなければなりません。
なお、戦闘の結果に関わらず、攻撃に参加した全ての部隊は、損耗状態や潰滅状態にあるかどうかに関係なく、次の戦闘フェイズに於いて再編成を選択しなければなりません。

・包囲を選択した場合、都市への攻撃を行わず、封鎖作戦を行って連合軍部隊を市内に閉じ込める事になります。
包囲には最低3個師団が必要となります。包囲が継続している間、その都市はライエルン軍の移動時に於いて制圧下に置かれている都市と同等の状態とみなされ、待機又は再編成が選択可能となる他、補給判定フェイズのチェックに於いても補給線が繋がっているものとして扱われます。
なお、包囲状態が継続しているかどうか?のチェックは各戦闘フェイズの終了時に行われます。その時点で包囲にあたっている部隊が3個師団未満となっている都市は、連合軍の制圧下に戻り、次の戦闘フェイズに於いて、攻撃を行うか、あるいは、再度3個師団以上を集めて包囲するかを選択しなければなりません。ただし、戦闘の結果、連合軍部隊を潰滅状態に陥らせるか、又は市内に退却させるかした場合に限り、次の戦闘フェイズが終了するまでの間、ライエルン軍の部隊数が3個師団未満であっても、包囲状態を継続する事が出来ます。
また、都市に対する包囲は、連合軍行動フェイズにおける連合軍側の反撃によっても解除される可能性があります。

(5)第2移動フェイズ:ライエルン軍のうち、装甲化部隊(装甲師団と自動車化歩兵師団)のみ、再度、移動又は待機を行う事が出来ます。

・なお、直近の戦闘フェイズに攻撃を行った部隊は、続く戦闘フェイズで必ず再編成を行わなければなりませんが、連合軍の制圧下にある都市(ただし、ライエルン軍の封鎖下にある都市は除きます)では再編成を行う事が出来ないため、移動先を決定する際には注意が必要です。

(6)第2戦闘フェイズ:ライエルン軍の装甲化部隊(装甲師団と自動車化歩兵師団)のうち、第1戦闘フェイズに攻撃を行わなかった部隊のみ、攻撃又は包囲を行う事が出来ます。

・ライエルン軍の制圧下又は包囲下にある都市に到達した部隊は、攻撃と包囲に加えて待機と再編成も選択できます。

(7)連合軍行動フェイズ:ゴール・サクソニア連合軍の各部隊の行動をMSが決定し、判定を行います。なお、連合軍行動フェイズにおける連合軍部隊の反撃によって戦闘が発生した場合は、ライエルン軍が攻撃側として攻撃を実行した場合と異なり、次の戦闘フェイズに必ず再編成を行わなければならないという義務は発生しません。

戦闘に関するルール

◎戦闘結果表

ダイスの目±修正値の数値が、

-2以下:攻撃側全滅(ユニット除去)
-1:攻撃側潰滅
0:攻撃側潰滅・防御側は損耗
1:攻撃側損耗
2:双方損耗・防御側は市街地に退却
3:双方損耗
4:防御側損耗
5:双方損耗・防御側は市街地に退却
6:防御側損耗・隣接する都市に退却
7:防御側潰滅
8以上:防御側全滅(ユニット除去)

・防御側のユニットが除去された場合、その都市は攻撃側が制圧します。
・防御側のユニットが潰滅状態又は市街地に退却した場合、攻撃側はその都市の存在するエリアに留まる事が出来、次の移動フェイズ以降、都市を守る敵軍の妨害を受けず、前進する事が可能となります(ただし、攻撃に参加した部隊は、次の戦闘フェイズには必ず再編成を選択しなければなりません)。
・防御側のユニットが除去又は潰滅状態に陥る、もしくは市街地に退却する結果とならない限り、攻撃側は(その戦闘フェイズの攻撃には参加しなかった部隊を含めて)その都市に隣接する自軍の制圧下又は包囲継続中の都市に戻らなければなりません(加えて、攻撃に参加した部隊は、次の戦闘フェイズには必ず再編成を選択しなければなりません)。


◎戦闘修正値一覧

自軍の戦力値の合計が敵軍よりも劣勢……-2
自軍の戦力値の合計が敵軍よりも優勢(1.1倍以上2倍未満)……+1
自軍の戦力値の合計が敵軍の2倍以上3倍未満……+2
自軍の戦力値の合計が敵軍の3倍以上5倍未満……+3
自軍の戦力値の合計が敵軍の5倍以上……+4
待機状態の部隊を攻撃する場合……-1
再編成中の部隊が攻撃を受けた場合……+2
包囲を受けている又は市街地に退却した部隊がその都市エリアに存在する敵軍を攻撃する場合……-2
直前の戦闘フェイズに於ける攻撃で、市街地に退却させた部隊を攻撃する場合……+1
連続する2回の戦闘フェイズに渡り、包囲下に置き続けている部隊を攻撃する場合……+2
アンドレ・ライン、要塞都市以外のエリアで、要塞歩兵師団を含む敵軍を攻撃する場合……+1
都市、アンドレ・ライン(軽防御)にいる敵軍を攻撃する場合……-1
要塞都市、アンドレ・ライン(重防御)にいる敵軍を攻撃する場合……-2
装甲師団又は機甲師団を含む部隊が装甲師団又は機甲師団を含まない敵軍を攻撃する場合……+1

◎地形効果一覧(※戦闘修正値を除きます)

要塞都市:連合軍部隊は、補給切れになりません。戦闘結果表の「防御側は隣接する都市に退却」は無効化されます。防御側の部隊を損耗状態又は潰滅状態にするか、市街地に退却させるがしない限り、包囲を行う事は出来ません。
都市:特になし。
アンドレ・ライン:連合軍部隊は、補給切れになりません。戦闘結果表の「防御側は隣接する都市に退却」は無効となります。防御側の部隊を損耗状態又は潰滅状態にするか、市街地に退却させるがしない限り、包囲を行う事は出来ません。
森林:森林を通る道路を利用して道路移動を行う場合、1回の移動フェイズにつき、ペナルティなしで移動可能な師団数は4コ師団までとなります(森林以外を通る道路は、1回の移動フェイズにつき、8コ師団まで)。
山地:特になし。
河川:最初に河川に到達したライエルン軍部隊は、降下猟兵師団を空挺降下させて橋梁を確保しない限り、河川の手前で移動を終了しなければなりません(次の移動フェイズ以降は、渡河地点が確保されたものとみなし、このルールは適用されなくなります)。海域:ライエルン軍部隊は一切進入できません。連合軍部隊は、ゴール・サクソニア間の海路を利用した移動及びゴール領内の隣接する港湾都市への移動のみ可能です(ペナルティなしで移動できる師団数の上限はありません。ただし、ライエルン軍の制圧下又は包囲下に置かれている都市への移動は出来ません)。
また、海上移動を用いてライエルン軍の包囲下にある港湾都市から隣接するライエルン軍の制圧下又は包囲下に置かれていない港湾都市に移動する事も可能ですが、その場合、移動を行った連合軍部隊は損耗状態となります(既に損耗状態となっている部隊は潰滅状態となります)。

◎師団の状態による行動への制約

・通常状態:師団としての機能に特段の問題が生じていない状態です。行動への制約は特にありません。
・損耗状態:戦闘その他の理由で、師団としての機能が損なわれている状態です。損耗状態の師団が更に損耗状態に陥ると潰滅状態となります。次の戦闘フェイズに再編成を選択する事で、通常状態まで戻す事が出来ます。行動への制約は特にありません。包囲を行う場合、損耗状態の師団は2個師団で1個の師団として扱います。
・潰滅状態:戦闘その他の理由で、師団としての機能が致命的に損なわれている状態です。潰滅状態の師団が更に損耗状態に陥ると師団としての機能を完全に喪失し、戦略マップから除去されます。次の戦闘フェイズに再編成を選択する事で、損耗状態まで戻す事が出来ます。敵から攻撃を受けた場合に防衛を行う事は出来ますが、自分の側から敵部隊に攻撃を仕掛ける事は出来ません。また、包囲を行う事は出来ません。

◎その他特殊ルール

・親衛隊装甲軍:

親衛隊装甲軍に所属する師団をアンドレ・ラインへの攻撃に参加させる事は、総統命令により、禁止されています。なお、包囲を行う事は禁止されていません。

・アンドレ・ラインへの攻撃

第1ターンの第1移動フェイズに於いて、アンドレ・ラインへの攻撃に参加する軍団と参加しない軍団を決定し、攻撃に参加する師団は、第1戦闘フェイズに、アンドレラインへの攻撃を実行しなければなりません。
なお、ライエルン領からアンドレ・ラインを攻撃する装甲化部隊に限り、道路移動可能な師団数の上限に関するルールは適用されません(非装甲化部隊については、ライエルン領からアンドレ・ラインを攻撃する場合であっても、道路移動可能な師団数の上限に関するルールが適用されます)。

アンドレ・ラインの各防衛線は、防衛にあたるゴール軍部隊が損耗状態又は潰滅状態にならない限り、包囲下に置く事はできません。
アンドレ・ラインの各防衛線は、防衛にあたるゴール軍部隊が除去又は潰滅状態になる、もしくは、包囲下に置かれない限り、ライエルン軍は通過する事は出来ません。
アンドレ・ラインの各防衛線に対するライエルン軍の包囲は、アンドレ・ラインの防衛線以外のエリアに存在する連合軍部隊から攻撃を受けた場合、戦闘結果に関わらず、ただちに解除となります。アンドレ・ラインの防衛線内に存在する連合軍部隊(ライエルン軍の包囲下にある部隊を含みます)から攻撃を受けた場合も、戦闘結果によっては解除される可能性があります。
連合軍部隊の攻撃によって、包囲が解除された場合、包囲を行っていたライエルン軍部隊は、道路によって繋がっているライエルン軍の制圧下又は包囲下にある都市に後退しなければなりません。



・連合軍によるライエルン領への逆侵攻

ライエルン領の都市が連合軍による攻撃を受けて制圧された場合、C軍集団及び親衛隊装甲軍は、総統命令により、ただちにその都市の奪回に向かわねばならず、その都市がライエルン側の制圧下に戻るまでの間、ゴール領への移動は禁止されます。
その場合、C軍集団と親衛隊装甲軍の行動は、MSが決定します。
兵科別戦力値一覧表(ライエルン軍)
兵科別戦力値一覧表(ゴール/サクソニア軍)

ライエルン軍の師団編成

ゲームに登場するライエルン軍の各師団の特徴と部隊編成に関する設定です。なお、師団編成に関する記述は、標準的な師団について述べたものであり、個々の師団によっては、様々な事情によって記述とは異なる編成となっているケースも存在します。

ライエルン連邦の石油事情

ライエルン連邦は、中央大陸の五大列強の中でも一、二を争うほどの工業大国であり、軍や政府機関は元より、民間に於いても、自動車の普及率は非常に高いものとなっています。
ただし、ライエルン経済の泣き所として、国内に大規模な油田が存在しないため、膨大な石油需要を満たすため、大量の原油を他国から輸入せざるを得ない点が挙げられます。ライエルンで採掘される石油は、南東部の山岳地帯に存在する小規模な油田から産出する僅かな原油がその全てを占めており、産出量は年間の国内消費量の1割未満に過ぎません。神聖ライエルン帝国時代には、植民地で産出する原油によって国内需要をかろうじて満たしてきましたが、第1次ヴェーヴェルスブルク戦役の結果、ライエルンの海外植民地はゴール共和国とサクソニア連合王国によって全て奪われてしまいました。加えて、現在では、ライエルン連邦の工業は神聖ライエルン帝国時代とは比べ物にならない程大規模なものとなっており、それに伴って国内の石油需要も増加しているため、たとえ、かつて保有していた海外植民地を全て奪還したとしても、国内消費量を賄う事は到底不可能な状態となっています。

第1次ヴェーヴェルスブルク戦役以後、ライエルンが必要とする石油資源の多くは、ラティニア王国とファントーシュ人民共和国からの輸入に依存する状況が続いています。
ラインハルト総統としては、親ライエルンのラティニアは兎も角、潜在的な仮想敵国であるファントーシュに経済の血液とも云うべき石油資源を頼り続ける状態は決して好ましいものではないと考えていますが、現状、ゴールやサクソニアとの緊張緩和が全く期待できない以上、背に腹は代えられない、というのが本音であるようです。
この状況を打開するため、ラインハルト政権は、国内で豊富に産出する石炭を原材料として石油疑似燃料を合成するための化学工業プラントの開発を推し進めています。
ライエルンの誇る科学力と工業技術の粋を結集し、膨大な予算と労働力を投入した結果、このプロジェクトは軌道に乗り、(現実世界のベルギウス法やフィッシャー・トロプシュ法に相当する)石炭液化技術によって、ガソリンや軽油類似の合成燃料を大量生産する事に成功しました。ただし、人造石油の生産コストは、輸入原油から精製される石油製品の2~3倍に達するため、民需用にはあまり回らず、その殆どは軍の需要を満たすために用いられています。

現状、ライエルン国内に流通する石油製品の出処は、約5割がラティニアからの輸入(主に、ラティニアとファントーシュの国境地帯にあるプラホヴァ油田で採掘される原油)、約3割が国内の化学工場で生産される人造石油及び国内の油田で採掘される原油、約2割がファントーシュからの輸入(主に、ファントーシュ東部のアブシェロン油田で採掘される原油)となっています。

モータリゼーション

大陸歴939年現在、ライエルン連邦は中央大陸の列強の中でも一、二を争う自動車普及率を誇り、自動車の生産台数もトップクラスとなっています。
中央大陸で実用的な自動車が誕生したのは、大陸歴800年代初頭のサクソニア連合王国に於いてですが、その後、短期間のうちに、産業革命の波に乗って、この画期的な乗り物は、改良を重ねつつ各国に普及していきました。なお、現在、中央大陸で主流となっている、ガソリンエンジンで駆動する四輪自動車の発明は、大陸歴870年代とされています。

ライエルンに於ける、所謂モータリゼーションの到来時期については、諸説あるものの、概ね大陸歴910年代の後半から920年代の前半にかけて、という説が一般的です。
従来の交通手段である徒歩や馬匹とは比較にならない程、高速で快適な移動手段である自動車は、当時、産業の発展によって富を蓄えつつあったブルジョワジー達のステイタスシンボルとして市民の憧れの的となると同時に、有事の際、兵員や物資を迅速かつ大量に目的地に運搬できる理想的な輸送手段として、軍隊(特に陸軍)にとって無くてはならない存在と看做されるようになっていました。

陸軍の自動車化に大きな関心を寄せ、その拡大を強く推進した人物の一人が、神聖ライエルン帝国最後の皇太子、トリスタン・フォン・ライエルンです。
大陸歴919年に生起した、ヴェーヴェルスブルクの会戦に於いて、彼が収めた歴史的な軍事的大勝利は、自動車化された歩兵部隊と砲兵部隊による機動戦の賜物であり、その後、クーデターによって帝国の全権を掌握し、新国家ライエルン連邦を樹立したトリスタンの下で、ライエルン陸軍は本格的な自動車化・機械化に邁進する事になります。
その結果、ゲーム開始(大陸歴939年)の時点に於いて、ライエルン陸軍の自動車化率は全軍の約2割に達しています(無論、この比率は、中央大陸の列強中、最高の数字です)。既にライエルン陸軍に於いては、騎兵部隊は師団以上の部隊の中には存在せず、儀仗兵的性格の強い幾つかの連隊や大隊を除けば、完全に姿を消しています。

一方、ライエルン以外の列強に於いては、モータリゼーションは専ら民間に限られるか、そもそも軍民共にその域には達していないのが実情です。
最初に自動車が実用化されたサクソニアに於いては、ライエルンに比肩し得る程度の自動車産業が発展し自動車普及率も高い水準に達していますが、ゴール共和国やラティニア王国では、永らく政府の中枢部にトリスタンのような自動車化推進論者が現れなかった事や国内に有力な自動車産業が育たなかった事などが災いして、自動車の普及は遅れています。社会主義国家であるファントーシュ人民共和国では、政府の強力な指導の下、軍隊を中心とする公共部門に於いては自動車化が急速に進められているものの、
民生部門での交通手段は、未だ鉄道輸送と馬匹輸送が主となっており、一般国民の大部分は自家用車など一生縁がない生活を送っています。加えて、冬季の寒さが非常に厳しいファントーシュでは、冬場に自動車のエンジンが凍結して故障が多発する、という悪条件も重なり、比較的高い水準の技術力や工業力に恵まれながらも、ファントーシュに於ける自動車の普及は頭打ちの状態が続いています。
なお、中央大陸以外の諸大陸に於いては、広大な平原地帯の各地に点在する拠点都市を結ぶ交通手段として自動車が欠かせない存在となっている北西大陸の植民地や自治領に於いて自動車産業の勃興や自動車専用道路の敷設が認められる他、南西大陸や南方大陸の一部の海岸地帯に於いて自動車の保有数が徐々に増えつつあるものの、全体としては、中央大陸に於いて見られるような、モータリゼーションの普及にまでは至っていない状況にあります。

ちなみに、ゴール共和国の北部一帯では、国防上の理由から、自動車専用道路の建設は見送られており、一般の道路についても、幅員の狭い、未舗装、又は道路に砂利を敷いただけの簡易舗装となっている状態の悪い道路が大部分を占めています。
そのため、不整地走行能力の高い戦車や装甲車、新型の兵員輸送車輛などは、特に問題なく走行可能と推定されているものの、旧式の兵員輸送車輛や補給部隊に配備されている物資輸送用のトラックやハーフトラックの大部分については、移動には相当な困難が予想されています。

国防軍最高司令部と陸軍総司令部

大陸歴939年現在、ライエルン連邦国防軍の統帥を担っている機関は、国防軍最高司令部(Oberkommando der Wehrmacht、略称はOKW)です。
国家元首である皇帝が軍務尚書に直接指揮を負託する神聖ライエルン帝国時代の仕組みを廃し、総統自らが最高司令官として国防軍を直接指揮するための組織として、大陸歴921年に創設されました。

創設者である初代総統トリスタンは、神聖ライエルン帝国軍をライエルン連邦国防軍に改組するにあたり、「以後は自身が直接国防三軍を指揮する」と宣言、自身が国防大臣を兼任すると共に、国防省の国防軍局(Wehrmachtamt)を発展的に解消させて国防軍最高司令部を設置し、新組織のトップ(国防軍最高司令部総長)に腹心の部下を任命しました。この時、従来、軍務尚書の下で軍の実務を差配していた陸軍総司令部(Oberkommando des Heeres, 略号はOKH)と海軍総司令部の権限と組織を大幅に削減した他、両軍の航空部隊を供出させて新たに空軍を創設しています。

また、陸軍総司令部の内部部局の一つに位置付けられていた陸軍参謀本部は、従前とほぼ同様の権限や人員・予算規模を保った状態で国防軍最高司令部へと移管されました。陸軍総司令部が冷遇される一方で、陸軍参謀本部の組織が旧帝国時代のまま温存されたのは、前者の要員の大部分をトリスタンの急進的な政治路線に批判的な門閥貴族出身者が占めていたのに対し、後者には軍人貴族や平民の出身者が多く、彼の主導で実行された軍の改革を歓迎する空気が強かったためと云われています。

トリスタンの死後、その後継者となったラインハルト総統の下でも、国防軍最高司令部を重視し、陸軍総司令部を軍の統帥から遠ざけようとする姿勢に変化はありませんが、前総統時代の苛烈な態度を見直し、門閥貴族勢力との間で一定の融和を図ろうとするラインハルト政権の政治方針も関係してか、一時期、さかんに唱えられていた陸軍総司令部の廃止論は、現在では殆ど口にする者もいない状況となっています。
また、大陸歴939年現在、国防軍最高司令部の総長職は空席となっており(公式には、総長は病気療養のために長期休職中、という事になっています)、陸軍参謀総長のジーベルト上級大将が、総統から命じられて、同職の臨時代行を務めています。

貴族・軍人貴族・平民

ライエルン人は、貴族、軍人貴族、平民の3つの社会階層のいずれかに所属しています。なお、ここで云う『ライエルン人』には、ライエルン以外の国や地域に居住するライエルン国民やライエルン国内に居住する外国人のうちライエルンの市民権を所有する者を含みます。
神聖ライエルン帝国時代には、もう一つ、帝室たるライエルン家の一族により構成される、皇族という階級もありましたが、大陸歴920年の帝制廃止・共和政体移行により、現在は消滅しています。帝国時代の皇族達は、帝制廃止に抵抗して家名断絶・平民階級への降格処分に処された者を除き、全員が貴族階級の一員となっています。

貴族は、伝統的にライエルン人の指導者階層であると同時に、文化芸術活動のパトロンとしてライエルンの上流社会を構成する、支配階層であるとみなされています。
軍人貴族は、古くは騎士と呼ばれ、貴族の指導の下、軍人や官僚、大地主や企業経営者として、支配階層を補佐し、労働者階層を監督する中間管理者の役割を果たしてきました。
平民は、労働者階級であり、兵士や下級の官吏、小作人や職人、商店主としてライエルン社会の下部構造を構成してきました。

中世末期に成立して以来、数世紀もの間、ライエルンの社会構造を構成する各階級間には流動性は殆ど存在しませんでした。異なる階級に属する者同士(特に貴族と平民)の婚姻や養子縁組は不名誉な行いとして厳しく制限され、国家や共同体に対して多大な貢献を行ったり、極めて大きな功績を上げたりした者に対して特例的に認められる場合を除き、平民が貴族に取り立てられる機会は皆無という状況が何百年も続いてきたのです。
しかし、産業革命による急激な工業化が、長きにわたる硬直化したライエルン社会の在り様に大きな変化をもたらします。商工業を中心とする産業の発展によって富を蓄えた平民の中から資本家が誕生し、経済力を背景に、皇族・貴族を頂点とする伝統的な社会構造を揺るがし始めたのです。また、この時期、軍事技術の急速な発達により、軍の実権は、貴族階級出身者から専門的な知識を身に着けたテクノクラートたる軍人貴族階級出身者へと移っていきます。このようなライエルン社会の変容に対し、旧来の社会秩序を維持しようとする門閥貴族勢力は幾度と無く抵抗を試み、ライエルン社会は貴族階級を中心とする守旧派と平民階級を中心とする革新派に二分されて不安定化します。
トリスタン・フォン・ヴェーヴェルスブルクによるクーデターと帝制廃止を経て、守旧派の政治的影響力が失墜して以降は、三つの階級間には流動性が生まれ、平民や軍人貴族の出身ながら栄達を遂げて貴族の称号を手に入れる者が現れる一方、政争に敗れたり、事業に失敗して財産を失ったりして零落した貴族が、平民の富裕者に娘を嫁がせるなどの手段で一門に迎え入れる等、従来のライエルン社会では決して起こり得なかったような、大きな社会的変化が次々に生まれています。しかしながら、長きにわたってライエルン人の精神構造の中に深く根付いてきた階層意識は一朝一夕には改まる事無く、現在もなお、ライエルン社会に様々な影響を及ぼし続けています。

親衛隊

ラインハルト総統直属の治安・諜報機関であり、国防軍の指揮命令系統には属さない、独立した武装組織(武装親衛隊)を有する組織です。
正式名称は、保安局(SicherheitsDienst)、略称は、SD。

元々は、ライエルン連邦の国家元首たる総統を警護する護衛部隊として発足しました。大陸歴929年に、ハインリヒ・ベッカーが親衛隊長官に就任し、彼の下で警察組織として勢力を拡大した後、初代総統トリスタンが急死し、ラインハルトが第2代総統となって以降、政府の治安機構との一体化が急速に進められました。大陸歴939年現在、保安警察、秩序警察、親衛隊情報部、刑務所及び強制収容所など、ライエルン連邦の主要な治安組織・諜報機関は(陸海空軍の憲兵隊と軍法会議を除き)ほぼ全て親衛隊の傘下に置かれています。

ライエルン国家と国家元首である総統に忠誠を誓い、服従の義務を負う国防軍の軍人と異なり、親衛隊員はラインハルト・フォン・ヴェーヴェルスブルク総統個人に対して忠誠を誓っています。
正規の親衛隊員となるためには、非常に厳しい入隊審査に合格しなければなりません。たとえば、大陸歴750年まで遡って、本人の血統に「黒い血」と呼ばれる特定の遺伝的形質が発現した者が存在しないか?調査を受け、ライエルン人種の顔立ち(彫りが深く金髪碧眼、細く高い鼻、後部が突き出た頭蓋骨)と最低身長173センチの頑強な体格、先祖の病歴などを基準とする厳密な選考・選別が行われます。
また、晴れて親衛隊に入隊した後も、親衛隊の規則に従った秩序ある生活態度が求められ、異性との婚姻も親衛隊の許可無く行う事は許されず、婚約者の血統、父方、母方に精神疾患歴がないか等の調査を受けた上で、問題が無いと認められた相手とでなければ、決して認められません。ベッカーは、親衛隊員への訓示の中で、数年以内に国家の主要ポストは金髪碧眼が占め、数世代の後には全ライエルン国民が”模範的なライエルン民族”の容姿になっていなければならない、と述べています。

また、親衛隊は、正規軍である国防軍から軍事組織(武装親衛隊)の保有を許可されており、ラインハルト総統の庇護の下、僅か数年で、10個師団・約15万人の戦闘部隊と国防軍最高司令部とは独立した指揮命令機関(親衛隊作戦本部)を運用するまでになっています。
ただし、武装親衛隊の親衛隊員となるための審査は、正規の親衛隊員のそれとは比べ物にならない程緩く、ライエルン国籍又は市民権を有する健康な男女でありさえすれば、人種や民族、学歴や犯罪歴の有無等に関わらず、入隊が可能となっています。これは、兵役によって徴兵されるライエルン人を武装親衛隊に振り向ける事が国防軍の強い抵抗により未だ実現していないため、武装親衛隊の兵士は志願兵に頼らざるを得ず、兵員の数を確保するためには審査基準を緩めざるを得ない、という事情によるものです。そのため、武装親衛隊の兵士の多くは、兵役年齢に達しない10代半ばの少年少女や何らかの事情により国防軍の徴兵審査で不適格とされた者達によって占められており、それどころか、刑務所や収容所に収監中の囚人やライエルン語を殆ど話せない外国人でさえ採用されたという事例も報告されています。
加えて、発足後間もない軍組織の常として、親衛隊作戦本部の幹部将校達の指揮・管理能力や作戦立案能力は未熟であり、国防軍の助力無しに、親衛隊独自の軍事行動を実施する事は、事実上不可能な状況にあります。

そのような実態にも関わらず(あるいは、そのような実態を一般国民から隠蔽する目的で)、武装親衛隊は、総統に絶対の忠誠を誓うライエルン軍のエリート精鋭部隊である、と国内外にさかんに喧伝されています。また、開発されて間もない新型の戦車や軍用車輛、各種装備などを優先的に支給されていたり、隊員の給与や休暇等の処遇面でも、国防軍の将兵より優遇されているケースが多々あります。そのため、国防軍の軍人達の中には、『武装親衛隊は、総統の庇護の下、”第二国軍”化を狙っているのではないか?』という不信や警戒の眼差しを向ける者も少なくありません。

「黒い血」

異世界<レーベンスボルン>には、現実世界の中近東地域に相当する地域は存在せず、従って、所謂”ユダヤ人問題”は存在しません。また、史実のユダヤ人/ユダヤ教徒に相当するような民族や宗教も存在していないため、史実のホロコースト政策に代表される、人種的・民族的・宗教的なマイノリティに対する国家機構による大規模かつ組織的な迫害行為は行われていません(勿論、現実世界と同様に、特定の人種や民族、宗教を対象とする差別や偏見自体は、<レーベンスボルン>にも存在していますが)。

代わりに、ライエルン及び中央大陸の諸国に於いては、「黒い血」と俗称される、特定の遺伝的形質を有する人々に対する差別や迫害が半ば公然と行われています。
「黒い血」とは、その名の通り、染色体に生じた突然変異により、血液の色が、赤色ではなく、黒色や濁った赤色となる現象の事で、<レーベンスボルン>の人類であれば、人種や民族に関わらず、誰にでも発現する可能性があります。出生前、母親の胎内にいる時期から発現しているケースが殆どですが、中には、成長過程又は成人後に血液の色が変化する場合もあります。

(「黒い血」を持つ者は)『亜人間の末裔である』『吸血鬼や狼人間等、神に呪われた者である』『肉体や精神に先天的な障害を有している』『黒死病や狂犬病等の原因である』等々、「黒い血」を持つ人々に対する差別や偏見は古代から存在し、時代や地域によって多くのバリエーションを有しています。
産業革命以降、医学水準が向上し、このような「黒い血」に関する伝説や伝承の多くが科学的根拠の無い迷信の産物に過ぎないという事実が明らかとなってはいます。しかしながら、数世紀にわたって中央大陸の人々の心に刻み続けられてきた差別や偏見を消し去るのは容易な事ではなく、現在もなお、「黒い血」を有する者に対する忌避感情は、各国の市民達の間に根強く残っています。

門閥貴族

大陸歴939年1月現在、ライエルン連邦は(実質は兎も角、表向きは)憲法と議会を有する立憲民主制国家となっており、国家制度としての貴族制度は廃止されています。
しかしながら、貴族・軍人貴族・平民というライエルン社会のヒエラルキーそのものは、未だ完全に消滅するに至ってはおらず、旧神聖ライエルン帝国時代を通じて、ライエルン国家の重職を独占し、数々の特権を享受してきた門閥貴族達……とりわけ、何世代にも渡って帝室と婚姻を重ね、”選定大公”(Kurfürst)という特別な称号を許された6家門に連なる有力諸侯達は、権力の座から遠ざけられ、領地や財産、政治・経済上の利権等、多くの特権を喪失した今もなお、依然として陰然たる影響力を保持し続けています。

クーデターによって帝制を廃止し、軍事独裁政権を樹立した、初代総統トリスタン・フォン・ヴェーヴェルスブルクは、神聖ライエルン帝国末期の国政の混乱と軍事上の大敗北をもたらした元凶として彼らを非常に嫌悪し、政権獲得後、その影響力を徹底的に削ぐ政策を立て続けに打ち出しました。門閥貴族出身者とその親族は、中央政府や軍部の中枢部から排除された上、数々の特権のはく奪、領地や荘園を没収、莫大な額の財産税の課税等の圧迫を受けただけでなく、トリスタンの政策に異を唱えた者は容赦なく摘発され、投獄されたり、政治犯収容所に送られたりするという恐怖政治が行われます。
もっとも、対する門閥貴族達の政治的抵抗も頑強で、結果として、両者の抗争は完全な決着を迎える事無く、大陸歴933年のトリスタンの死によって水入りとなります。

彼の後継者となった現総統ラインハルト・フォン・ヴェーヴェルスブルクは、旧来の敵である門閥貴族達よりも、ゴール共和国やサクソニア連合王国等の西側諸国の標榜する自由な政治体制にシンパシーを感じる民主主義者やファントーシュ人民共和国のプロパガンダに影響された共産主義勢力の方を脅威とみなし、門閥貴族に対する政治的圧迫を緩和し、融和を図る方向に方針転換したと見られ、実際に、前総統時代に粛清された者達への恩赦や名誉回復、没収された財産の返還等も行われています。ただし、現在もなお、政権内には門閥貴族への警戒感が強く残っており、(一部の例外を除いて)政府や軍部の中枢部からは遠ざけられている状況が続いています。
無論、門閥貴族達の多くは、現状に対して不満を抱き続けていますが、前総統の治世下と異なり、彼らの姿勢は反総統・反体制一辺倒ではなくなっており、ラインハルト政権に協力し、彼のために働く事によって国政への影響力を取り戻そうと考える家門も現れ始めているようです。