第3ターン(大陸歴939年2月第2週)
大陸歴939年2月6日16:00。
ウーバーザクセン州ノイエス・ハノーフェル市/聖ブルーノ記念病院内・特別病室。
「忙しい所済まんな、クレメンス」
「いえ、お気になさらず。元帥閣下こそ、大事に至らなくて幸いでした」
白い壁に囲まれた、清潔な病室。
ベッドの上に半身を起こした老人……A軍集団司令官兼西方総軍司令官のミヒャエリス・フォン・ケラーマン陸軍元帥の痩躯を見やりつつ、ジーベルト参謀総長は労りの表情を浮かべました。
軍人として卓越した能力の持ち主である事は勿論、その存在自体が指揮下の軍人達の精神的支柱になっていると云っても過言ではない老将軍は、初代総統トリスタンに忠節を尽くし、支え続けた建国の功臣として、国防軍の軍人達は勿論、多くの国民から敬愛される人物です。
その元帥が執務中に倒れ、緊急入院したと聞いて、参謀総長は全ての公務をキャンセルし、首都から車を飛ばして病床に駆け付けました。彼にとって、元帥はかつて多大な薫陶を受けた上官であり、心の中で師と仰ぐ人物です。
「その事じゃが……この重要な時期に身勝手この上無い話ではあるが、近々、A軍集団司令官の職を返上しようと思うているのじゃよ」
「……」
申し訳なさそうに頭を下げる元帥の前で立ち尽くす、ジーベルト。事前に連絡は受けていたものの、こうして本人の口から辞意を告げられると、常に沈着冷静な彼も言葉を失うしかありません。
「そんな顔をするな。遅かれ早かれ、こうなる事は分かっていたじゃろうが?」
「え、ええ。御身体の具合が良くない事は耳にしておりましたが……」
「それに、西方総軍司令官の職には共和国との戦いが一段落するまでは留まるつもりじゃ。……もっとも、実務は参謀長以下の若い連中に任せるしかなさそうじゃが」
自嘲気味に微笑む、ケラーマン元帥。
西方総軍司令官は、形式上は、(親衛隊を除く)西部戦線の全実戦部隊を指揮運用する重要ポストですが、多分に名誉職的な意味合いの強い司令官職であり、実際の所、前線の各軍及び軍団の指揮は各軍集団司令部が受け持ち、総軍司令官は彼らの調整役を担っているに過ぎません。そのような実権に乏しい司令官職でさえも部下に実務を委ねなければならない程、元帥の健康状態が悪化しているという残酷な事実に、参謀総長は沈痛な表情を浮かべる事しか出来ませんでした。
「後任人事は一任するよ。面倒事を押し付けるようで申し訳ないが、病人は大人しく寝ておれ、と医者が五月蠅くてな」
「承りました。万事、お任せを」
「うむ。頼んだぞ、クレメンス。それから、あと一つ、内密に頼まれて欲しい事があるんじゃが……」
「何なりとお申し付け下さい、閣下」
元部下の答えに頷くと、元帥は耳を貸すように命じました。
そして、一段と低い声音で囁きかけます。
「……例の、連合王国の女性推理作家の新刊がな、司令部の執務机の抽斗に入っているんじゃ。医者に知られると、『殺人事件の描写は心臓に悪い』だのなんだのと喧しいでの……連中に見付からぬよう、コッソリとこの病室に届けて貰えんじゃろうか?」
●今回、結論を出す必要のある議題(第3ターン)
B軍集団の作戦行動方針。
ジーベルト参謀総長より、『B軍集団の作戦行動方針について意見のある者は早急に提出するように』という指示が発出されました。
B軍集団は、プランAではピスタニアからザウトホーラントを経てヴァノアールに進撃する事になっているのに対し、プランBでは、一部を以てピスタニアの共和国第7軍を牽制しつつ、主力部隊はヘルダーラントに進撃し、連合軍の主力部隊(共和国第1軍及び連合王国大陸派遣軍の第1機甲軍団)を誘引する事になっており、参謀間の合意形成には相当な困難が予想されます。参謀総長は、今回の会議で意見が纏まらない場合は、職権で決定を下す事も辞さない方針のようです。
なお、今回も、複雑な問題の絡む親衛隊装甲軍の作戦行動方針については、各軍集団のそれとは切り離して議論を行い、後日結論を出すとの事です。
●懸案事項の一覧(第3ターン)
(1)全体会議の前に、NPCに面会し、質問したり、交渉を持ち掛けたりする事が出来ます。
対象のNPCは、クロースナー上級少将、フリンゲル少将、ヴェーゼラー少将、グロースファウストSD上級少将の4人です。なお、4人は多忙であり、複数人に面会を求めた場合、希望通りに面会出来ない可能性があります(いずれか1人に面会を求める場合は必ず面会出来ます)。
(2)総統府より、ケラーマン元帥の後任のA軍集団司令官について、参謀本部に推挙を求めてきました。
候補者は、次の2名です。
フェードア上級大将(B軍集団司令官/歩兵科出身の60代男性/能力は平均的/政治的には中立派)。
エヴァルト上級大将(東部国境防衛司令官/騎兵科出身の50代男性/能力は平均よりやや上/政治的には門閥貴族派(※総統に協力的な家門))。
(3)国防軍情報部より、『国防軍特殊作戦旅団(通称”リンデン部隊”)をレーヌス川支流域の治水ダム制圧に投入すべき』というB軍集団の意見具申について、『情報解析の結果、当該意見具申に係る情報については、概ね事実と推定する』という報告が上がってきました。
報告を受けて、参謀本部では保留扱いとなっていた検討作業が再開され、当初の予定通り、A軍集団の意見具申を容れて、”リンデン部隊”をレーヌス川に架かる橋梁の制圧に投入するのか?それとも、B軍集団の意見具申を容れて、治水ダムの制圧に投入するのか?判断を下す事になりました。
なお、今回、”リンデン部隊”の投入が見送られた意見具申については、同部隊とは別の(より低い能力しか持たない)特務部隊が送られる事になります。
(4)国防軍最高司令部より、ラインハルト総統臨席の下、”金の場合”を想定した図上演習を実施する旨の通知がありました。
陸海空軍と親衛隊から参謀が集められ、ライエルン軍側と連合軍側に分かれて、大規模なシミュレーションを行うもので、陸軍参謀本部からは参謀次長のフレデリカ・パウルス歩兵大将率いる参謀達が参加します。なお、開催予定日は、定例全体会議の3日前(2月7日)です。
この懸案事項の解決にあたる場合、連合軍側の総司令部要員の役割を割り当てられる事になります。ゲームサイトに掲載されている、ゴール共和国第1軍集団及びサクソニア連合王国大陸派遣軍を用いて、ライエルン軍の侵攻をどう迎え撃つか?プレイングに記述して下さい。
なお、猟兵の側から総統に話しかける事は出来ませんが、総統から話しかけられる事はあるかもしれません。
(5)総統府より、前回に引き続き、ラインハルト総統の『”金の場合”に於いては、親衛隊装甲軍が重要な役割を果たす事を期待している』という内々の意向が伝達されています。
今回も正式な総統命令ではなく、あくまで個人的な要望というレベルに留まってはいますが、要求のトーンは、前回同様、強いものとなっています。
また、今回、親衛隊装甲軍の”アンドレライン”攻撃参加を禁止する総統命令が一部変更になり、禁止対象を”アンドレライン”に対する最初の攻撃に限る一方で、新たに要塞都市に対する最初の攻撃への参加も禁止される事になります(※”アンドレライン”・要塞都市共に、2回目以降の攻撃への参加及び「包囲」は禁止命令の対象外です)。
●マスターより
PBWアライアンス【Reyernland über Alles! シナリオ#1”金の場合”】へようこそ!
本ゲームは、異世界<レーベンスボルン>に存在する軍事国家ライエルン連邦とその西隣に位置するゴール共和国との戦争を題材とする仮想戦記風PBWです。
皆さんには、ライエルン連邦国防軍最高司令部に所属する陸軍参謀本部の参謀将校となり、数か月後に実施される予定の共和国侵攻作戦"金の場合"の作戦計画の立案にあたって頂きます。
ゲームの開催期間は約1年間、ターン数は5回です(なお、ゲーム内では1ターンは約1週間に相当します)。
ゲーム期間終了後、制作された全リプライを元に最終的な判定結果を導き出した上で、断章として執筆・公開を予定しています。
本ゲームへの参加にあたっての注意点です。
皆さんの立ち位置は、陸軍参謀本部の作戦課に所属する佐官クラスの参謀将校であり、前線司令部で部隊を直接指揮したり、自ら最前線に立って敵と戦ったりする立場ではありません。従って、リプライの中で、戦闘や戦場の場面が描かれる事は基本的には無いものとお考え下さい(そもそも、このゲームの対象期間は、最後に制作する予定の断章を除き、ライエルンとゴールとの戦争が始まる数か月前の時期となっています)。
皆さんに行って頂きたいのは、
(1)公開済みのリプライやゲームサイトに掲載されている情報(各ターンの初期情報、戦略マップ、戦力表、各種図表類、ルール、世界設定等)を活用して、オリジナルの作戦案を立案する。
(2)ゲームサイトに掲載されている、NPCが立案した二つの作戦案のどちらかを支持し、正式な作戦計画として採用されるように努力する。
(3)ゲームサイトに掲載されている各ターンの初期情報や各ターンのシナリオ・オープニングに掲載されている懸案事項に関して、意見を述べ、解決に向けて努力する。
のいすれか、です。
ただし、(3)だけを選択する事は出来ません((3)を選択したい方は、必ず(1)又は(2)と一緒に行って下さい)。また、(3)については、懸案事項を解決出来なかったとしても、ただちにゲーム上の不利益が発生する訳ではありません。ただし、懸案事項の解決に貢献したと認められた方は、上官や関係者から好感を獲得出来るだけでなく、状況によっては、本国からの増援部隊の来援等、ゲーム上の利益となる事象が発生する可能性もありますので、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。
●前回のプレイングによってもたらされた状況の変化(全体)
・プランBの作戦行動方針が大幅に変更されました。詳細については、ゲームサイトをご覧下さい。
・C軍集団の作戦行動方針が決定されました。詳細については、ゲームサイトをご覧下さい。ただし、この方針は暫定的なものであり、親衛隊装甲軍の作戦行動方針の決定と同時に再度検討し直す事になっています。
・A軍集団直轄の第24装甲軍団は、自動車化歩兵師団(二)×2に変更されました。
・B軍集団第2装甲軍所属の第16装甲軍団は、装甲師団(二)×2に変更されました。
・西方総軍直轄として、第1降下装甲軍団が新設されました。
構成部隊は、降下装甲猟兵師団×1、歩兵師団(二線級)×2です。
なお、降下装甲猟兵師団は、(降下猟兵師団と同じく)師団単位での運用が可能です。
また、第1ターン作戦開始時の集結地点は、プランA・B共にケルシェとなります。
●前回のプレイングによってもたらされた状況の変化(個別)
・パウラ・ヒンデンブルク歩兵少佐
好感度上昇:ヴェーゼラー少将
信頼度上昇:C軍集団司令部
・ヴィルヘルミナ・グレーナー砲兵上級少佐
好感度上昇:フリンゲル少将、グロースファウストSD上級少将
信頼度上昇:親衛隊作戦本部
・ヘルミーナ・モルトケ装甲兵中佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
・エリーシャ・ファルケンハイン歩兵上級中佐
好感度上昇:フリンゲル少将
信頼度上昇:A軍集団司令部
・ヴィリー・フランツ参謀大佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
信頼度上昇:空軍総司令部
・ヘルムート・ロートシュタット歩兵上級大佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
信頼度上昇:空軍総司令部
●第3ターンの懸案事項(4)について
第3ターンの懸案事項(4)を選択する場合、兵棋演習に参加する猟兵が取り扱う事の出来る連合軍部隊は、以下の通りとなります。
・共和国第1軍集団
第7軍(司令部所在地:ビスタニアス(※史実のアムステルダム))要塞歩兵師団×4、歩兵師団×4、騎兵師団×1
第2軍(司令部所在地:ヴァノアール(※史実のアントワープ))要塞歩兵師団×3、歩兵師団×3、軽機甲師団×1
第9軍(司令部所在地:メディス(※史実のブリュッセル))要塞歩兵師団×2、歩兵師団×2、騎兵師団×1
第6軍(司令部所在地:リンドル(※史実のメッツ))要塞歩兵師団×6、歩兵師団×2、騎兵師団×1
第1軍(司令部所在地:クリスベルン(※史実のアラス))歩兵師団×4、軽機甲師団×1、機甲師団×1
・連合王国大陸派遣軍
第1機甲軍団(司令部所在地:メーリッツ(※史実のカレー)):軽機甲師団×2、機甲師団×2
第3軍団(司令部所在地:アークフォート(※史実のポーツマス)):歩兵師団×2、軽機甲師団×2
第5軍団(司令部所在地:ウィースフォート(※史実のロンドン)):歩兵師団×4
※ 共和国第1軍集団に所属する各軍の編成については、「作戦名”金の場合”」の「ゴール・サクソニア連合軍戦闘序列」をご覧下さい。
※ 共和国第2軍集団と首都防衛特別軍については、猟兵は取り扱う事は出来ません。
なお、サクソニア連合王国軍は、1個軍団につき最大で4個の師団を配備する事が出来ます。一方、ゴール共和国軍は、(ライエルン軍と同様)1個軍団につき最大で3個の師団を配備できます。
移動と戦闘のルールについては、ライエルン軍と共通となります。ただし、ライエルン軍の部隊と異なり、連合軍部隊は(条件を満たしていれば)海上移動を行う事が出来ます。
連合軍部隊は、(ライエルン軍と異なり)装甲化部隊に限り、師団単位で作戦行動方針を指定する事が出来ます(非装甲化部隊については、ライエルン軍と同様、軍団単位で作戦行動方針を指定しなければなりません)。
なお、装甲化部隊は機甲師団と軽機甲師団です(騎兵師団は非装甲化部隊です)。
●プレイング作成にあたってのヒント
・二線級の師団を一線級の師団に昇格させる場合、基本的には何処かから一線級の師団を連れてきた上で、双方の所属部隊(基幹兵力となる連隊及び各種支援大隊)を交換する作業が必要となります。従って、所属部隊が2個師団以下の軍団の場合は、このような方法を用いて時間と手間と予算をかけ、二線級の師団を一線級の師団に改編するよりも、連れてきた一線級の師団をそのまま軍団に編入する方が一般的です。
・フェードア上級大将又はエヴァルト上級大将がA軍集団司令官となった場合、後任のB軍集団司令官又は東部国境防衛司令官には、フレデリカ・パウルス大将が上級大将に昇格した上で就任する事が内定しています。なお、ケラーマン元帥はA軍集団司令官は辞任しますが、当面、西方総軍司令官職には留まる予定です(健康状態が思わしくないため、実務面は参謀長以下の司令部要員に委ねざるを得ない状況が続くでしょう)。
・ラインハルト総統は、非常に秘密主義的な性格の持ち主です。彼が一体何を目指しているのか?(”金の場合”に於いて、何を望んでいるのか?)は、第3ターンの開始時点ではリプライを読んだだけでは判然としないでしょう。敢えて推理を試みたい方は、これまでに公開されたリプライの記述内容とゲームサイトに掲載されている各種の情報を突き合わせて、一連の言動の裏に隠されている真意について想像を働かせてみて下さい。
なお、彼が自分の真意を(ごく限られた側近達を除く)周囲の人間に打ち明けようとはしないのには、(彼の性格以外にも)そのように振る舞わざるを得ない理由が存在しています。
ウーバーザクセン州ノイエス・ハノーフェル市/聖ブルーノ記念病院内・特別病室。
「忙しい所済まんな、クレメンス」
「いえ、お気になさらず。元帥閣下こそ、大事に至らなくて幸いでした」
白い壁に囲まれた、清潔な病室。
ベッドの上に半身を起こした老人……A軍集団司令官兼西方総軍司令官のミヒャエリス・フォン・ケラーマン陸軍元帥の痩躯を見やりつつ、ジーベルト参謀総長は労りの表情を浮かべました。
軍人として卓越した能力の持ち主である事は勿論、その存在自体が指揮下の軍人達の精神的支柱になっていると云っても過言ではない老将軍は、初代総統トリスタンに忠節を尽くし、支え続けた建国の功臣として、国防軍の軍人達は勿論、多くの国民から敬愛される人物です。
その元帥が執務中に倒れ、緊急入院したと聞いて、参謀総長は全ての公務をキャンセルし、首都から車を飛ばして病床に駆け付けました。彼にとって、元帥はかつて多大な薫陶を受けた上官であり、心の中で師と仰ぐ人物です。
「その事じゃが……この重要な時期に身勝手この上無い話ではあるが、近々、A軍集団司令官の職を返上しようと思うているのじゃよ」
「……」
申し訳なさそうに頭を下げる元帥の前で立ち尽くす、ジーベルト。事前に連絡は受けていたものの、こうして本人の口から辞意を告げられると、常に沈着冷静な彼も言葉を失うしかありません。
「そんな顔をするな。遅かれ早かれ、こうなる事は分かっていたじゃろうが?」
「え、ええ。御身体の具合が良くない事は耳にしておりましたが……」
「それに、西方総軍司令官の職には共和国との戦いが一段落するまでは留まるつもりじゃ。……もっとも、実務は参謀長以下の若い連中に任せるしかなさそうじゃが」
自嘲気味に微笑む、ケラーマン元帥。
西方総軍司令官は、形式上は、(親衛隊を除く)西部戦線の全実戦部隊を指揮運用する重要ポストですが、多分に名誉職的な意味合いの強い司令官職であり、実際の所、前線の各軍及び軍団の指揮は各軍集団司令部が受け持ち、総軍司令官は彼らの調整役を担っているに過ぎません。そのような実権に乏しい司令官職でさえも部下に実務を委ねなければならない程、元帥の健康状態が悪化しているという残酷な事実に、参謀総長は沈痛な表情を浮かべる事しか出来ませんでした。
「後任人事は一任するよ。面倒事を押し付けるようで申し訳ないが、病人は大人しく寝ておれ、と医者が五月蠅くてな」
「承りました。万事、お任せを」
「うむ。頼んだぞ、クレメンス。それから、あと一つ、内密に頼まれて欲しい事があるんじゃが……」
「何なりとお申し付け下さい、閣下」
元部下の答えに頷くと、元帥は耳を貸すように命じました。
そして、一段と低い声音で囁きかけます。
「……例の、連合王国の女性推理作家の新刊がな、司令部の執務机の抽斗に入っているんじゃ。医者に知られると、『殺人事件の描写は心臓に悪い』だのなんだのと喧しいでの……連中に見付からぬよう、コッソリとこの病室に届けて貰えんじゃろうか?」
●今回、結論を出す必要のある議題(第3ターン)
B軍集団の作戦行動方針。
ジーベルト参謀総長より、『B軍集団の作戦行動方針について意見のある者は早急に提出するように』という指示が発出されました。
B軍集団は、プランAではピスタニアからザウトホーラントを経てヴァノアールに進撃する事になっているのに対し、プランBでは、一部を以てピスタニアの共和国第7軍を牽制しつつ、主力部隊はヘルダーラントに進撃し、連合軍の主力部隊(共和国第1軍及び連合王国大陸派遣軍の第1機甲軍団)を誘引する事になっており、参謀間の合意形成には相当な困難が予想されます。参謀総長は、今回の会議で意見が纏まらない場合は、職権で決定を下す事も辞さない方針のようです。
なお、今回も、複雑な問題の絡む親衛隊装甲軍の作戦行動方針については、各軍集団のそれとは切り離して議論を行い、後日結論を出すとの事です。
●懸案事項の一覧(第3ターン)
(1)全体会議の前に、NPCに面会し、質問したり、交渉を持ち掛けたりする事が出来ます。
対象のNPCは、クロースナー上級少将、フリンゲル少将、ヴェーゼラー少将、グロースファウストSD上級少将の4人です。なお、4人は多忙であり、複数人に面会を求めた場合、希望通りに面会出来ない可能性があります(いずれか1人に面会を求める場合は必ず面会出来ます)。
(2)総統府より、ケラーマン元帥の後任のA軍集団司令官について、参謀本部に推挙を求めてきました。
候補者は、次の2名です。
フェードア上級大将(B軍集団司令官/歩兵科出身の60代男性/能力は平均的/政治的には中立派)。
エヴァルト上級大将(東部国境防衛司令官/騎兵科出身の50代男性/能力は平均よりやや上/政治的には門閥貴族派(※総統に協力的な家門))。
(3)国防軍情報部より、『国防軍特殊作戦旅団(通称”リンデン部隊”)をレーヌス川支流域の治水ダム制圧に投入すべき』というB軍集団の意見具申について、『情報解析の結果、当該意見具申に係る情報については、概ね事実と推定する』という報告が上がってきました。
報告を受けて、参謀本部では保留扱いとなっていた検討作業が再開され、当初の予定通り、A軍集団の意見具申を容れて、”リンデン部隊”をレーヌス川に架かる橋梁の制圧に投入するのか?それとも、B軍集団の意見具申を容れて、治水ダムの制圧に投入するのか?判断を下す事になりました。
なお、今回、”リンデン部隊”の投入が見送られた意見具申については、同部隊とは別の(より低い能力しか持たない)特務部隊が送られる事になります。
(4)国防軍最高司令部より、ラインハルト総統臨席の下、”金の場合”を想定した図上演習を実施する旨の通知がありました。
陸海空軍と親衛隊から参謀が集められ、ライエルン軍側と連合軍側に分かれて、大規模なシミュレーションを行うもので、陸軍参謀本部からは参謀次長のフレデリカ・パウルス歩兵大将率いる参謀達が参加します。なお、開催予定日は、定例全体会議の3日前(2月7日)です。
この懸案事項の解決にあたる場合、連合軍側の総司令部要員の役割を割り当てられる事になります。ゲームサイトに掲載されている、ゴール共和国第1軍集団及びサクソニア連合王国大陸派遣軍を用いて、ライエルン軍の侵攻をどう迎え撃つか?プレイングに記述して下さい。
なお、猟兵の側から総統に話しかける事は出来ませんが、総統から話しかけられる事はあるかもしれません。
(5)総統府より、前回に引き続き、ラインハルト総統の『”金の場合”に於いては、親衛隊装甲軍が重要な役割を果たす事を期待している』という内々の意向が伝達されています。
今回も正式な総統命令ではなく、あくまで個人的な要望というレベルに留まってはいますが、要求のトーンは、前回同様、強いものとなっています。
また、今回、親衛隊装甲軍の”アンドレライン”攻撃参加を禁止する総統命令が一部変更になり、禁止対象を”アンドレライン”に対する最初の攻撃に限る一方で、新たに要塞都市に対する最初の攻撃への参加も禁止される事になります(※”アンドレライン”・要塞都市共に、2回目以降の攻撃への参加及び「包囲」は禁止命令の対象外です)。
●マスターより
PBWアライアンス【Reyernland über Alles! シナリオ#1”金の場合”】へようこそ!
本ゲームは、異世界<レーベンスボルン>に存在する軍事国家ライエルン連邦とその西隣に位置するゴール共和国との戦争を題材とする仮想戦記風PBWです。
皆さんには、ライエルン連邦国防軍最高司令部に所属する陸軍参謀本部の参謀将校となり、数か月後に実施される予定の共和国侵攻作戦"金の場合"の作戦計画の立案にあたって頂きます。
ゲームの開催期間は約1年間、ターン数は5回です(なお、ゲーム内では1ターンは約1週間に相当します)。
ゲーム期間終了後、制作された全リプライを元に最終的な判定結果を導き出した上で、断章として執筆・公開を予定しています。
本ゲームへの参加にあたっての注意点です。
皆さんの立ち位置は、陸軍参謀本部の作戦課に所属する佐官クラスの参謀将校であり、前線司令部で部隊を直接指揮したり、自ら最前線に立って敵と戦ったりする立場ではありません。従って、リプライの中で、戦闘や戦場の場面が描かれる事は基本的には無いものとお考え下さい(そもそも、このゲームの対象期間は、最後に制作する予定の断章を除き、ライエルンとゴールとの戦争が始まる数か月前の時期となっています)。
皆さんに行って頂きたいのは、
(1)公開済みのリプライやゲームサイトに掲載されている情報(各ターンの初期情報、戦略マップ、戦力表、各種図表類、ルール、世界設定等)を活用して、オリジナルの作戦案を立案する。
(2)ゲームサイトに掲載されている、NPCが立案した二つの作戦案のどちらかを支持し、正式な作戦計画として採用されるように努力する。
(3)ゲームサイトに掲載されている各ターンの初期情報や各ターンのシナリオ・オープニングに掲載されている懸案事項に関して、意見を述べ、解決に向けて努力する。
のいすれか、です。
ただし、(3)だけを選択する事は出来ません((3)を選択したい方は、必ず(1)又は(2)と一緒に行って下さい)。また、(3)については、懸案事項を解決出来なかったとしても、ただちにゲーム上の不利益が発生する訳ではありません。ただし、懸案事項の解決に貢献したと認められた方は、上官や関係者から好感を獲得出来るだけでなく、状況によっては、本国からの増援部隊の来援等、ゲーム上の利益となる事象が発生する可能性もありますので、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。
●前回のプレイングによってもたらされた状況の変化(全体)
・プランBの作戦行動方針が大幅に変更されました。詳細については、ゲームサイトをご覧下さい。
・C軍集団の作戦行動方針が決定されました。詳細については、ゲームサイトをご覧下さい。ただし、この方針は暫定的なものであり、親衛隊装甲軍の作戦行動方針の決定と同時に再度検討し直す事になっています。
・A軍集団直轄の第24装甲軍団は、自動車化歩兵師団(二)×2に変更されました。
・B軍集団第2装甲軍所属の第16装甲軍団は、装甲師団(二)×2に変更されました。
・西方総軍直轄として、第1降下装甲軍団が新設されました。
構成部隊は、降下装甲猟兵師団×1、歩兵師団(二線級)×2です。
なお、降下装甲猟兵師団は、(降下猟兵師団と同じく)師団単位での運用が可能です。
また、第1ターン作戦開始時の集結地点は、プランA・B共にケルシェとなります。
●前回のプレイングによってもたらされた状況の変化(個別)
・パウラ・ヒンデンブルク歩兵少佐
好感度上昇:ヴェーゼラー少将
信頼度上昇:C軍集団司令部
・ヴィルヘルミナ・グレーナー砲兵上級少佐
好感度上昇:フリンゲル少将、グロースファウストSD上級少将
信頼度上昇:親衛隊作戦本部
・ヘルミーナ・モルトケ装甲兵中佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
・エリーシャ・ファルケンハイン歩兵上級中佐
好感度上昇:フリンゲル少将
信頼度上昇:A軍集団司令部
・ヴィリー・フランツ参謀大佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
信頼度上昇:空軍総司令部
・ヘルムート・ロートシュタット歩兵上級大佐
好感度上昇:クロースナー上級少将
信頼度上昇:空軍総司令部
●第3ターンの懸案事項(4)について
第3ターンの懸案事項(4)を選択する場合、兵棋演習に参加する猟兵が取り扱う事の出来る連合軍部隊は、以下の通りとなります。
・共和国第1軍集団
第7軍(司令部所在地:ビスタニアス(※史実のアムステルダム))要塞歩兵師団×4、歩兵師団×4、騎兵師団×1
第2軍(司令部所在地:ヴァノアール(※史実のアントワープ))要塞歩兵師団×3、歩兵師団×3、軽機甲師団×1
第9軍(司令部所在地:メディス(※史実のブリュッセル))要塞歩兵師団×2、歩兵師団×2、騎兵師団×1
第6軍(司令部所在地:リンドル(※史実のメッツ))要塞歩兵師団×6、歩兵師団×2、騎兵師団×1
第1軍(司令部所在地:クリスベルン(※史実のアラス))歩兵師団×4、軽機甲師団×1、機甲師団×1
・連合王国大陸派遣軍
第1機甲軍団(司令部所在地:メーリッツ(※史実のカレー)):軽機甲師団×2、機甲師団×2
第3軍団(司令部所在地:アークフォート(※史実のポーツマス)):歩兵師団×2、軽機甲師団×2
第5軍団(司令部所在地:ウィースフォート(※史実のロンドン)):歩兵師団×4
※ 共和国第1軍集団に所属する各軍の編成については、「作戦名”金の場合”」の「ゴール・サクソニア連合軍戦闘序列」をご覧下さい。
※ 共和国第2軍集団と首都防衛特別軍については、猟兵は取り扱う事は出来ません。
なお、サクソニア連合王国軍は、1個軍団につき最大で4個の師団を配備する事が出来ます。一方、ゴール共和国軍は、(ライエルン軍と同様)1個軍団につき最大で3個の師団を配備できます。
移動と戦闘のルールについては、ライエルン軍と共通となります。ただし、ライエルン軍の部隊と異なり、連合軍部隊は(条件を満たしていれば)海上移動を行う事が出来ます。
連合軍部隊は、(ライエルン軍と異なり)装甲化部隊に限り、師団単位で作戦行動方針を指定する事が出来ます(非装甲化部隊については、ライエルン軍と同様、軍団単位で作戦行動方針を指定しなければなりません)。
なお、装甲化部隊は機甲師団と軽機甲師団です(騎兵師団は非装甲化部隊です)。
●プレイング作成にあたってのヒント
・二線級の師団を一線級の師団に昇格させる場合、基本的には何処かから一線級の師団を連れてきた上で、双方の所属部隊(基幹兵力となる連隊及び各種支援大隊)を交換する作業が必要となります。従って、所属部隊が2個師団以下の軍団の場合は、このような方法を用いて時間と手間と予算をかけ、二線級の師団を一線級の師団に改編するよりも、連れてきた一線級の師団をそのまま軍団に編入する方が一般的です。
・フェードア上級大将又はエヴァルト上級大将がA軍集団司令官となった場合、後任のB軍集団司令官又は東部国境防衛司令官には、フレデリカ・パウルス大将が上級大将に昇格した上で就任する事が内定しています。なお、ケラーマン元帥はA軍集団司令官は辞任しますが、当面、西方総軍司令官職には留まる予定です(健康状態が思わしくないため、実務面は参謀長以下の司令部要員に委ねざるを得ない状況が続くでしょう)。
・ラインハルト総統は、非常に秘密主義的な性格の持ち主です。彼が一体何を目指しているのか?(”金の場合”に於いて、何を望んでいるのか?)は、第3ターンの開始時点ではリプライを読んだだけでは判然としないでしょう。敢えて推理を試みたい方は、これまでに公開されたリプライの記述内容とゲームサイトに掲載されている各種の情報を突き合わせて、一連の言動の裏に隠されている真意について想像を働かせてみて下さい。
なお、彼が自分の真意を(ごく限られた側近達を除く)周囲の人間に打ち明けようとはしないのには、(彼の性格以外にも)そのように振る舞わざるを得ない理由が存在しています。