Reyernland über Alles!

第1ターン(大陸歴939年1月第4週)

第1ターン(大陸歴939年1月第4週)

●オープニング

大陸歴939年1月26日09:30。
ライエルンジーゲン特別市中央区・国防軍最高司令部内陸軍参謀本部・作戦課第一会議室。


「皆、揃っているかね?」

セントラル・ヒーティングの利いた、広い会議室。
フィールドグレーの軍服に身を包んだ男達の視線が、入室してきた初老の将軍へと注がれます。
少し白髪の混じる、豊かな銀髪を端正に撫で付けたその将軍は、居並ぶ士官達……ライエルン連邦陸軍の頭脳たる陸軍参謀本部の参謀達に軽く手を挙げて挨拶すると、
ゆっくりとした身のこなしで、大テーブルの中央に設けられた自分の席へと向かいました。

「はい、閣下。公務、病欠その他やむを得ない理由で欠席している者を除き、リストにある者は全員この場に参集しております」

傍らに侍立する副官が事務的な口調で報告します。
その言葉に軽く頷くと、銀髪の男……ライエルン連邦陸軍参謀総長クレメンス・フォン・ジーベルト上級大将は落ち着いた口調で宣言しました。

「よろしい。では、本日の会議を始めるとしよう。皆、忌憚のない意見を聞かせてくれたまえ」



●今回、結論を出す必要のある議題(第1ターン)
特にありません。

●懸案事項の一覧(第1ターン)
(1)A軍集団司令部より、『国防軍特殊作戦旅団(通称”リンデン部隊”)をレーヌス川にかかる橋梁の制圧に投入すべきである』という意見具申が上がってきています。
 ”リンデン部隊”は、国防軍最高司令部直属の特務部隊で、敵国に潜入して、破壊活動や通信網の攪乱、偽情報の流布等の特殊工作を行う部隊です。
 橋梁の制圧は空軍所属の降下猟兵師団が行う事になっていますが、天候等の条件次第では降下作戦が中止される可能性もある事から、より確実な手段として特殊部隊による制圧が必要、というのがその理由です。
 ”リンデン部隊”は非常に小規模な部隊編成であるため、橋梁の制圧に回した場合、本来予定していた任務の大半は実行不可能となるでしょう。
 同じ理由で、彼らが橋梁を制圧し続ける事が出来る時間は限られたものとなります(※コマンド作戦を実施したターンの第1移動フェイズ又は第2移動フェイズのいずれか一方のみに限定されます)。
 更に、体面を傷つけられる空軍からは猛烈な抗議が予想されますので、彼らをどう宥めるのか?も考える必要があるでしょう。

(2)B軍集団司令部より、『軍集団直轄の第56装甲軍団に所属する2個自動車化歩兵師団を、一線級の自動車化歩兵師団と交替させるべきである』という意見具申が上がってきています。
 B軍集団の装甲部隊が全て二線級部隊(配備されている軍用車輛の多くが旧式のもので占められている部隊)であり、新型の戦車が配備されている連合軍機甲部隊と会敵した場合、対処が困難となる可能性が高い、というのが理由です。
 現状、一線級の装甲師団と自動車化歩兵師団は、殆どが西方総軍(A軍集団)に配属されており、本国の予備師団の中に一線級の部隊は存在しません。
 東部の国境地帯には、一線級の装甲師団と自動車化歩兵師団がいくつか配備されていますが、(相互不可侵条約を締結しているとはいえ、依然として潜在的な軍事的脅威である事には変わりない)ファントーシュとの軍事バランスを考慮すれば、おいそれと配置換えする事は難しい状況です。

(3)親衛隊作戦本部より、『親衛隊装甲軍に所属する第2SD装甲軍団の2個自動車化歩兵師団を装甲師団に改編すべきか否か?陸軍参謀本部の意見を求む』という照会案件が持ち込まれています。
 当該自動車化歩兵師団については、以前から装甲師団への改編が計画されていましたが、”金の場合”の作戦発動時期が未確定だったため、延期されてきたという経緯があります。
 現状、”金の場合”の作戦発動予定時期は9月の初旬とされている事から、『半年間あれば装甲師団化も可能では?』という声が上がっているようなのですが、スケジュール的にはギリギリの状況で、何らかのアクシデントで編成作業に遅れが生じた場合には、”金の場合”への参加が危ぶまれる事態となる事も十分に考えられるため、親衛隊内部でも意見が分かれている模様です。

(4)総統府より、ラインハルト総統の『”金の場合”に於いては、親衛隊装甲軍が重要な役割を果たす事を期待している』という内々の意向が伝達されています。
 今の所、正式な総統命令という訳ではなく、あくまで個人的な要望というレベルに留まっていますが、だからといって完全に無視する事は難しいでしょう。

●マスターより

PBWアライアンス【Reyernland über Alles! シナリオ#1”金の場合”】へようこそ!

本ゲームは、異世界<レーベンスボルン>に存在する軍事国家ライエルン連邦とその西隣に位置するゴール共和国との戦争を題材とする仮想戦記風PBWです。
皆さんには、ライエルン連邦国防軍最高司令部に所属する陸軍参謀本部の参謀将校となり、数か月後に実施される予定の共和国侵攻作戦"金の場合"の作戦計画の立案にあたって頂きます。

ゲームの開催期間は約1年間、ゲームターン数は5回です(なお、ゲーム内では、1ターンは約1週間に相当します)。
ゲーム期間終了後、制作された全リプライを元に最終的な判定結果を導き出した上で、断章として執筆・公開を予定しています。

本ゲームへの参加にあたっての注意点です。
皆さんの立ち位置は、陸軍参謀本部の作戦課に出仕する佐官クラスの参謀将校であり、前線司令部で部隊を直接指揮したり、自ら最前線に立って敵と戦ったりする立場ではありません。
従って、リプライの中で、戦闘や戦場の場面が描かれる事は基本的には無いものとお考え下さい(そもそも、このゲームの対象期間は、最後に制作する予定の断章を除き、ライエルンとゴールとの戦争が始まる数か月前の時期となっています)。

皆さんに行って頂きたいのは、

(1)ゲームサイトに掲載されている情報(戦略マップ、戦力表、各種図表類、ルール、世界設定等)を活用して、オリジナルの作戦案を立案する。
(2)ゲームサイトに掲載されている、NPCが立案した二つの作戦案のどちらかを支持し、正式な作戦計画として採用されるように努力する。
(3)各ターンのシナリオ・オープニングに掲載されている懸案事項に関して、意見を述べ、解決に向けて努力する。

のいすれか、です。
ただし、(3)だけを選択する事は出来ません((3)を選択したい方は、必ず(1)又は(2)と一緒に行って下さい)。
また、(3)については、懸案事項を解決出来なかったとしても、ただちにゲーム上の不利益が発生する訳ではありません。
ただし、懸案事項の解決に貢献したと認められた方は、上官や関係者から好感を獲得出来るだけでなく、状況によっては、本国からの増援部隊の来援等、ゲーム上の利益となる事象が発生する可能性もありますので、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。

●プレイング作成にあたってのヒント

・NPCが立案した二つの作戦案は、基本、ゲーム開始時点での部隊編成のまま、作戦行動を行う形となっています。そのため、必ずしも完全無欠な作戦案となっている訳ではありません。
たとえば、ルール上は8個師団まで道路移動後の攻撃が可能であるにも関わらず、6個師団しか道路移動を行っていない(つまり、道路外移動によって戦力が半減した状態で攻撃を行わなければならない師団が2個多くなっている)等。
このような改善を要するポイントはいくつかありますので、プレイングで部隊編制の変更を提案してみて下さい(あるいは、作戦計画の不備として指摘する事で、そのプランに対するNPC達の評価を下げるのにご活用下さい)。

・戦闘フェイズに「攻撃」を行うか?それとも、「包囲」を行うか?は、慎重に検討しましょう。
道路移動が可能な師団数に制限が発生するのは、その移動フェイズのすぐ後の戦闘フェイズに「攻撃」を選択する場合に限られます。「包囲」を選択する場合には、道路移動が可能な師団数に制限は発生しません。
また、戦闘フェイズに「攻撃」を選択した部隊は、その戦闘に勝利したかどうか?に関わり無く、次の戦闘フェイズには「再編成」を選択しなければなりません。
「包囲」を行うには、最低3個師団以上の部隊が必要となりますが、戦闘を行う事によるリスクを回避しつつ、目標の都市を戦闘に勝利して制圧するのとほぼ同等の状態に置く事が可能です。
ただし、「包囲」は、連合軍側の反撃によって解除される可能性があります。また、ルール上、アンドレ・ラインと要塞都市に対しては、最低でも1度、「攻撃」を行った上でなければ、「包囲」を行う事は出来ない点にご注意下さい。

・NPCの参謀達は、異なる意見を持つ者同士であったとしても、必ずも不仲であるという訳ではありません。むしろ、良きライバルとして互いに認め合っているケースが殆どです(中には例外も存在しますが)。
また、ライエルン人の気質として、たとえ個人的に何らかの悪感情を抱いていたとしても、公の場でその感情を直接相手にぶつけるような言動をとる事は、エリートとしてのモラルに反する行為と考えられているため、少なくとも公然と行う事は控える傾向があります。